■Stay on the beach:2
頬に当たる砂が温かい。ううん、少し熱すぎるくらい。背中に照り付ける日差しを感じて、顔を上げた。
私、砂浜で寝てたのかな……
しばらくは眩しくて目が開かなかったけれど、だんだん日差しに慣れてくる。
そうだ、ボケガエルと遠泳勝負をしてたのに、潮に流されたんだ。
折り返しのこの島に着いた時には、かなり遠回りに泳がされて、疲れちゃって、ここで……
「ボケガエルに、負けたかな」
眠っていたのはほんの僅かな時間だろうけど、あいつはとっくにゴールしてるだろう。
そう思うと、必死に泳いだ自分がばかみたいだった。戻るのも面倒になって、
その場にまた横になる。
「疲れた〜のどかわいた〜」
言ってみても返事はない。周りには流木がゴロゴロしていて、
海水浴場って感じの砂場じゃないし、もしかしたら無人島かもしれなかった。
みんなが心配する前に戻ろう、と立ち上がった時だった。
「痛っ……」
足の裏に刺すような痛みが走って、よく見るとそこにはビンの破片。
足の裏は、深くはないけど切れて血がでていた。
「うぅ」
なんだか急に心細くなって、涙があふれた。
誰もいない。助けてくれない。
泣き声を上げてしまいそうになった瞬間、自分を呼ぶ声が聞こえた。
「夏美ぃーー!!」
水面すれすれを、水しぶきを上げてギロロのソーサーが飛んでくる。
「ギロロ……ギロロ!!」
助けに来てくれた!!
私は嬉しくて、足のことも忘れて立ち上がった。
それでもすぐに痛みに負けてその場で尻餅をつく。
「夏美っ、大丈夫か!?」
ギロロはソーサーから飛び降りて、私の方へつっこんできた。
「きゃっ」
「のわっ」
ギロロの頭が私の胸に当たってバウンドした。砂浜に後頭部を打ち付けたみたい。
バカ、と思ったけど、来てくれたことがすっごく嬉しかった。
「ギロロ、来てくれたんだ」
「あ、ああ、遅いから皆心配している。戻るぞ」
「それがね」
私が足の傷を見せると、ギロロは慌てて応急処置をしてくれた。
「こんなこともあろうかと、救急セットを持ってきた。よかったな」
「さっすがギロロね」
包帯を巻くギロロが赤くなったのは、気のせいかな。
「さぁ、済んだぞ。」
ギロロは立ち上がると、ソーサーに乗る。私もギロロに掴まって、はじっこに座った。