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■Ration reration TypeG:3


突然ギロロの周囲が影に包まれた。
驚いて振り向くと、そこには丸くなって寝ていたはずのネコの代わりに、
小山のようなものが出現していた。

「なっ、なんだ!?」
「うにゃ……」

小山が突然動いたかと思うと、かわいらしい鳴き声がした。

「これは……ネコか!」

まあるい背中は日向家の軒先に届こうかという高さだ。
丸くなっているので、庭の大半を占拠してしまっている。
あまりのことにギロロが言葉を失っていると、すぐ側の窓が開いた。

「なんか急に暗くなったんだけど……ってなにこれ!?」

ネコを見るなり、夏美が飛び出してきた。
その声を聞いて、ネコの耳がぴくりと動く。

「ま、まずい!起きるぞ」

ネコは目を開けると、首を上げてギロロと夏美を見た。

「にゃ?」(なんだかギロロとナツミが小さいにゃ)

そこでネコの瞳がいたずらっぽく光った。

「にゃ~」(これは遊ぶチャンスにゃ)

巨大化しても変わらない俊敏さで、ネコは立ち上がった。
ギロロは慌てて予備の階級章を投げ、アンチバリアをかけた。

「ちょっとギロロ、なんなのよこれ!?」
「俺も知らん。おい、クルル!聞こえるか!」
「ギロロ、危ない!」

夏美の声に反応してギロロがネコを見上げた瞬間、
前脚で殴られたギロロは物置に叩き付けられた。

「ぐおっ」
「ギロロ!」

ネコはお尻を高く上げ、しっぽを立てて二人をじっと見ている。
完全に遊んでもらっていると思っているようで、目は好奇に輝いていた。
夏美はギロロに走り寄り、助け起こした。

「夏美、にげろ……」
「そんなこと言ったって!」
「おーい、どうした?先輩」

通信がようやく繋がったようだ。
しかしなおもネコの手が伸びてきて、夏美はギロロを抱えながら左へ跳んでそれを避けた。

「遅いぞクルル!」
「すまねぇな~。んで、なんか用スか?」
「貴様のレーション、ありゃ何だ!」
「俺様印のヤツを食ったのか?」
「ネコがな!」
「にゃあ!」

呼ばれて嬉しいのか、またしても手が二人を襲う。
夏美はそれを巧に避けた。

「早くどうにかしなさいよ、クルル!」
「あぁん?日向夏美も一緒かよ」

ギロロはそこでようやく夏美の腕の中にいることに気付いたのか、真っ赤になった。

「どうでもいいから早く戻す方法を教えろ!」
「時間が経てば戻るはずだぜぇ」
「どれくらいだ!?」
「ん~、3分」
「もう3分くらい経つぞ!」
「古くなって変質してっかもなぁ」
「貴様!いいかげんなことを!」
「ちょっと、やばいわよギロロ!」

ギロロが夏美の声で怒りから我にかえると、既に二人は庭の隅に追い詰められていた。


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