■Keron Mermaid -500voices-:9
アスラー星人は余裕たっぷりに笑った。
「せいぜいがんばりなさい!」
ギロロはその様子が気にかかった。
どうせ見つからないとたかを括っているような態度。
「本当にこの中にあるんでありますか?」
ケロロの言葉に、クルルもアスラー星人に向かって言う。
「まさか、本当に初めっから本物が無いなんてことはねーよなぁ」
「な、なによ疑うの?ちゃんとあるわよ!」
ビン底メガネはしばらくモニターを見つめたが、舌打ちをして視線を逸らした。
「何かあるな。オッサン、何でもいい、思い付くことはねぇか」
囁かれた言葉に、ギロロは懸命に考えを巡らせた。
そして。
『記念すべき500個めのコレクションに加えてあげるわ!』
ギロロはクルルを見た。
「なんか思い付いたってツラしてるぜぇ」
クルルは携帯端末を差し出した。画面を見ると、文字入力モードになっている。
ギロロは急いで文字を打ち込んだ。
『ごひゃくばんめのこれくしょん』
「総数が500個無いとおかしいってことだな?」
頷くと、二人は同時に左右へ別れ、手当たり次第に数を数えはじめた。
ケロロと夏美は声の検証を始めている。
やがてクルルがギロロに近づいた。
「何個だ」
327、とハンドサインで応える。
「俺と足して500ピッタリかよ……やっぱり隠してはいないってことか。
仕方ねぇ、とりあえずやるか」
ギロロとクルルも釈然としないまま、夏美とケロロに加わった。