■Ringing the bell:4


ケロロたちを置いて庭へ戻ると、そこにはドロロが立っていた。

「ギロロ殿……」

風に風鈴が揺れる。
今のドロロの表情のように、頼りない音だ、とギロロは思った。
いつものブロックに座り、すぐそばのドロロを見上げた。

「この前のは、知ってて言ったのか」


――後悔の無いようにね


あの時の言葉が思い浮かぶ。ドロロはうつむいて、ブロック塀に寄り掛かった。

「小雪殿から聞いていたのでござるよ。留学とは名誉なことと聞き申した」
「わざわざ遠くまで勉強しに行くからといって、偉いものか。
 どんな場所でも学ぼうと思えば何でも学べる」
「そうでござろうか」
「それに親元から離れるなど、あいつにはまだ早い!」
「夏美殿は家事も完璧にこなすし、今でもママ殿がおらずとも、
 立派にやっているではござらぬか」
「あいつはまだ子供だ!」

興奮したギロロは地面を拳で叩いた。
ドロロはそれを見ても微動だにせず、ただ、丸い目が細められた。

「それでは、夏美殿が帰ったら何と言うおつもりか」
「無論、やめておくように言う」
「それが夏美殿のためにならなくとも?」
「それが夏美のためだ」

ドロロはため息をついた。

「頑固でござるな」
「お前こそしつこいぞ。おおかた、東谷小雪に何か言われたんだろう」
「小雪殿は関係ござらぬ」
「本当にそうか?こっちに来てからお前はあいつにべったりだからな」
「ギロロ殿」
「いつからあいつの言いなりになった?まるでペットじゃないか」
「……聞き捨てならぬ!」

ドロロがギロロを細目で睨む。鞘を払わないままの短刀を水平に構えた。
ギロロはそれを見てにやりと笑う。

「やるのか?」
「先程の言、撤回して頂きたい」
「男がそんな簡単に自分の言ったことを取り消せるか」

立ち上がって、その手にビームサーベルを転送させた。

「ちょうどいい、イライラしていたところだ」
「ギロロ殿!」
「お前が先に構えたんだぞ!」

言うなりギロロが地面を強く蹴った。


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