■Detective G66:6
現場を見た後で、ギロロは再びラボを訪れていた。
「指紋鑑定の結果が出たぜぇ。
このデジカメに付着した指紋の持ち主は、隊長、ギロロ先輩、ドロロ先輩、日向夏美、日向冬樹だ。
当然俺様の指紋も入ってたが」
「中のデータはどうだ」
「風呂場のぶれた写真が一枚。あのシャッター音はこいつで間違いなさそうだな」
ギロロは腕を組んで考え込む。
これはケロロの持ち物だから、指紋はあって当然。
ギロロとドロロはあの場で拾ってしまったため、指紋の有無は証拠にならない。
当事者の夏美と、あのとき夏美に声をかけていた冬樹は除く、となると。
「クルル、お前の指紋はいつ付いたのだ?触れないように布に包んで渡したはずだが」
「今日じゃねーよ。以前隊長にメンテ頼まれたときだろ」
ギロロはますます考え込んでしまった。
指紋のある中で、アリバイの無いのはドロロ、ただ一人。
しかしドロロではないと、ギロロは信じていた。
その心を読んだように、クルルが言う。
「でもよー、話聞いてると、犯人はドロ沼先輩しかいないんじゃね?アリバイ無いんだろ?」
「あいつには動機がない」
「そんなの、おおかた忍者娘あたりに頼まれたんだろ」
「そ、そうか!いや、しかし」
いくら小雪のためとはいえ、覗きや盗撮のようなことをドロロがやるとは、どうしても思えなかった。
そもそも、犯人は何のために、ケロロのデジカメまで持ち出して、覗きなんかをしたのか。
動機が鍵になる。
そう思ったギロロは、瞳を強く閉じて開くと、吹っ切れたような表情で笑った。
その瞳が灰色に変わってゆく。
「わかったぞ……犯人が!」
クルルが口で手を覆って笑った。
「誰だっつーんだよ?ドロ沼先輩か?」
笑いつづけるクルルの眉間に、ライフルの銃口がめり込んだ。
「犯人は、貴様だ、クルル」