■Who's baby!?:4


ケロロの部屋に落ち着くと、黄色い背中に視線が集まる。
それを待っていたかのようにクルルが振り向いた。

「お前ら、宇宙カッコウって覚えてるか?」
「宇宙……カッコウ?」

ケロロが首を傾げる。

「もう忘れちまったのかよ、『バブブ』のことだぜ」
「バブブぅ?……あ!?」
「思い出したですぅ、軍曹さんに懐いてたケロン人の赤ちゃんそっくりの奴ですぅ!」
「そんなのも居たな」

俺は目を閉じて記憶を辿った。

ある夜、ケロロのベッドに突然現れた、ケロン人の幼体そっくりの赤子。
ケロロはそれをバブブと名付け世話をしたが、
そいつは子供を他の奴に預けて育てさせる宇宙カッコウの子供だったのだ。
すくすく育ったバブブは、日向家を破壊して宇宙に飛んで行ってしまった。

「あの時の隊長殿の落ち込み様は凄かったでござる」
「万年トラウマのドロロに言われたくないであります!」
「ひ、ひどいよケロロくぅん……」

スイッチが入ってしまった奴はさておき、クルルは話を続けた。

「今回のは『宇宙カッコウβ』で間違いねえ」
「なんだそれは」
「ただの宇宙カッコウより進化した種類らしくてな、まず親に選んだ種族の子供に擬態する。
 そんでターゲットを洗脳し、しかもより安全な環境をめざして、家族を作ろうとするのが特徴だ」

――父親はあんたでしょ、ギロロ――

「あ……」
「さっきの質問の答えからすると、あれは『宇宙カッコウβ』なんだよ」
「で?それってヤヴァイの?」
「洗脳状態が体にいいわけねーだろ。この状態が長く続けば
 日向夏美の脳はダメージを受けるだろうな」
「ダメージだと!?」

一気に頭の中が真っ白になった。

「とにかく一刻も早くあの子を夏美殿の手から奪うのが先決であります!」
「確かに、赤ん坊さえ奪えれば、超音波で洗脳解除できるぜ」
「だけどあのナッチーから赤ちゃんを奪うのは無理ですぅ」

タママの発言に、みな一斉に黙り込む。
俺は両手に武器を持つと立ち上がった。

「えぇい、こうなったら実力行使だ!」
「どうせ返り討ちでありますよ」
「じゃあどうすればいいか言ってみろ!」
「俺様に策があるぜぇ」

そういえば小隊の作戦参謀だった男が不敵に笑った。


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