■Who's baby!?:3
日向家のリビングはミルクの甘ったるい匂いに包まれていた。
ソファに座る夏美がミルクを飲ませると、赤ん坊は満足そうに笑った。
「さぁ、げっぷをさせるのよ。パパ」
「ぱぱぱぱ……ぱぱぁ!?」
「背中を優しく叩いてあげて」
夏美はこちらに背を向けるよう、赤子を抱え直した。
仕方無しに優しく背中を叩く。
けぷ、と小さな吐息が聞こえ、俺もいつのまにか止めていた息を吐いた。
夏美は嬉しそうに子供を抱き直した。
「優しいパパでよかったわね〜」
俺は夏美の横でソファに正座しながら、赤子をあやす様子をじっと見ていた。
「今にも鼻血を噴き出しそうですぅ」
「完璧にのぼせているでござるな」
「いっそこのままでいいんじゃん?幸せそうだしぃ」
「てゆーか、家族計画?」
「貴様らっ!聞こえとるぞ!」
ドアから様子を伺っていた奴らにどなりつけると、真横で赤ん坊が火のついたように泣き出した。
「ああぁぁぁ゛ん」
「ごめんごめん、びっくりしちゃったね〜」
夏美は赤子を抱えた両手を慌てて左右に揺すった。
そしてこちらを無言で睨みつける。
俺はソファから降りて後ずさると、そのまま扉の影へと身を隠した。
「すっかり幸せそうでありますな」
そこにいたケロロが下瞼を上げてにやりと笑う。
「うるさい、何かわかったことはないのか」
「黄色博士が説明するって言ってるですぅ」
赤子の世話を俺と夏美に任せて、他の奴らは基地で調査をしていたのだ。
「とりあえず鬼ママに聞かれたくねぇからな、隊長の部屋に行くぜ」
「了解であります」
俺達は盛大な泣き声をバックに地下へと降りていった。