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■侵略のヒケツ:4


からっと晴れた冬晴れの日、珍しく日向家の庭には火の気が無く、
落ち葉がかさかさと音を立てて舞っていた。

窓が開いて、鍋を抱えた夏美が庭に降りてくる。
まっすぐに向かった先は赤い小さなテントだった。

「ギーロロ」
「夏美、か」

かすれた声がして、寝袋に包まれたギロロが起き上がった。

「まだ熱ありそうね。食欲は?」
「いや、何も食えそうにない」
「でも食べないと、治らないわよ。ほら」

夏美が持ってきた鍋の蓋を開けると、白い湯気の中からお粥が現れた。

「これは……お前が?」
「うん。この前のお芋のお粥で私も元気出たから、お礼よ。っていうか、あれでうつしちゃったのよね」
「『こうするともっと治りが早い』とか言って、俺にもくれたからな。
 冬樹から聞いたが、ペコポンの風邪は人にうつすと治ると言うらしいじゃないか」
「わざとじゃないわよ!」
「そうか?したたかなものだと感心していたが」

皮肉るように笑うギロロを見て、夏美は涙目で頬を膨らませた。

「そんないじわる言うなら、あげない!」
「あ、うそ、うそです、頂きます!」

ギロロは夏美から鍋を奪うと、持ってきていたスプーンも取り上げて、鍋から直接食べはじめた。

「あづっ!……うまいっ」
「ばかね、やけどするわよ」

涙目でお粥を食べるギロロを、夏美はにっこりと笑いながら見守っていた。



■侵略のヒケツ:END


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