■Ration reration TypeG:5
庭に戻ると、大量の水溜まりや倒れたブロック塀相手に、途方に暮れている夏美がいた。
ギロロが近付くと振り返り、ギロロの両肩をがっちり掴んで揺さぶる。
「ネコちゃんは?大丈夫なの!?」
「し、心配ない、クルルに預けてきた」
「クルルぅ?平気なの?」
「ああ。珍しくあいつなりに責任を感じているらしい」
「なにそれ。これ、クルルが原因?」
ギロロはこうなった経緯をかいつまんで話した。
「暗かったせいで変なレーションまで持ってきてしまった責任は、俺にもある」
(もっとも、クルルはそれを狙っていたのだろうが)
ギロロが被害に遭うならまだしも、相手がネコなのは予想外だったのだろう。
「じゃあ一番悪いのは、最初にギロロの食料庫を吹っ飛ばしたボケガエルの奴じゃない」
「元をたどればそうかもな」
「この庭の片付けはあいつにやらせなきゃ」
腕を組む夏美を横目に見ながら、ギロロは足元のタイプGを一つ拾った。
水浸しになったそれは、ケースも潰れて蓋を開けても食べられそうな気配がない。
「今から買い出しにいくか」
とぼとぼと歩くギロロを見て、夏美が言った。
「そっか、これじゃあんたはしばらく食べる物が無いってことじゃない」
「何か買ってくる」
「うちで一緒に食べればいいわよ」
「敵と馴れ合う気はない」
「ボケガエルだって食べてるのに?」
「あいつと一緒にするな!」
気を抜くと甘い誘いに乗ってしまいそうで、ギロロは夏美に背を向けた。
そんなギロロを見て、夏美は微笑む。
「意地っぱり。じゃ、こういうのはどう?
さっき助けてくれたお礼に、私が食事に招待するの」
「礼などいらん。むしろ危険な目に遭わせた」
「結果的にネコちゃんも助かったし、この程度で済んだのはギロロのおかげよ」
黙り込むギロロの脇に夏美がしゃがみ込む。
ギロロの顔を横から覗き込み、耳元で囁いた。
「私が来てっておねがいしてるのに……だめ?」
「いっ、行かせていただきます!!」
赤くなったギロロを見て夏美も少し頬を染めると、慌てたように立ち上がって言った。
「じゃ、夕食の準備するから」
固まったギロロを残して庭を去る。
夏美の脳裏には、先程ネコと対峙した時の、真剣なギロロの表情が焼き付いていた。
夏美はそれを思い返してにっこり笑うと、まずは夕食の前に庭掃除をさせるため、
ケロロを捕獲すべく地下基地へとむかった。
■Ration reration TypeG:END