■Ration reration TypeG:1


地下基地の無機質な通路に、怒ったような足音がピコピコと響いていた。

「全くケロロの奴!作戦失敗はいつもの事だが、
俺の食料庫まで吹っ飛ばしおって!」

金髪アフロですすだらけのギロロ伍長が一人つぶやく。
先程まで作戦で使用していた機器が、例によって調子に乗ったケロロの誤操作で爆発したのだ。

かなり大きな爆発で、ギロロが宇宙人街などで買い置きしていた食料と、
ドロロの畑が一部その被害に遭った。
ドロロは部屋の隅で泣いていたが、ギロロは怒りにまかせてケロロをぶちのめしてきたところである。

「お……ここか」

ギロロがたどり着いたのは、基地内のあまり使われていない部屋の一つ。
青いドアの前に立ち、先程のクルルの言葉を思い出す。


『あそこの奥にある青い扉の部屋、物置に使ってるんスよ。
 確かタイプGならそこに腐るほどあったはずだぜ〜。食い物困るだろ、先輩』


タイプGとは、ご存知ケロン軍の軍用食、ケロレーションの中でもゲロマズと評判が高いものだ。
ギロロは暗い顔でドアに近づく。
自動でドアが開いたが、中の電灯は切れているのか真っ暗だった。
廊下から刺す光が床にギロロのシルエットを映した。

目をこらすと、クルルの発明品と思われるガラクタの端に、カップ型の容器がバラバラと積んである。
ギロロがそれを一抱え分持ち上げると、とたんに埃が舞い上がった。
吸い込まないようにふぅっと息を吐いて小走りに部屋を出る。

「出来ることなら、埃だらけのタイプGなどの世話にはなりたくないが」

かと言って、ケロロのように日向家の世話になるのは捕虜のようでプライドが許さない。
幸い賞味期限は大丈夫なようで、ギロロは苦い思いをしながらレーションをテントへ運んだ。


次のページ

G66×723 に戻る
NOVEL に戻る
TOPに戻る