■侵略者の個人的事情:1
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Title:無題
本文:今何してる?
Title:Re:
本文:パトロールちゅうだ
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「パトロールねぇ」
夏美は窓の外から見える家々の上に、ギロロが飛んでいるような気がして目を向けた。
「あいつ、武器の整備かパトロールしかしてない感じよね」
夏美は誰にも聞こえないようにつぶやく。
「夏美ごめん、先生に呼ばれちゃったからもうちょい待ってて」
「おっけー」
放課後、一緒に帰るやよいとさつきを待つ間、夏美はギロロにメールをしてみたのだった。
ケロロの作戦によってギロロからメールが来てから、夏美は時々メールをしている。
最初こそあちらから何通も送ってきて、うざったいくらいだったが、
こうしてたまにメールをすると、シンプルな返信のみで意外と気楽なのだった。
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Title:Re:Re:
本文:今どのあたりなの?
Title:Re:Re:Re:
本文:おくじょう
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「おく……じょう、屋上?まさか」
夏美は黒板に『さつき&やよい、ごめん先に帰ってて、夏美』と書き残すと、
鞄を掴んで教室を走り出た。
屋上に着いて扉を開ける。中程まで走っていくと、背後から声がかかった。
「夏美」
「ギロロ!」
振り返るとギロロが貯水タンクから飛び降りてきて、夏美の足元に着地した。
「授業はいいのか」
「もう終わったわ。今帰るところ。やっぱり『おくじょう』ってここの屋上のことだったのね」
「わざわざ確かめに来たのか?」
「なによ、その言い方。せっかく来たのに。屋上っていうからもしかしてと思って……
そういえば、来る必要はなかったか。なんで来たんだろ」
夏美は顎のあたりに指を当て、本気で考え込んでいる。
「お、俺のために……」
「え?なんか言った?」
「いや、何でもない」
「屋上って滅多に来ないけど、風強いのね。気持ちいい!」
夏美は端まで歩くと手摺りにもたれた。左右の髪が風になびいて揺れる。
ギロロも夏美の隣に立って下を見下ろすと、帽子の左右が風に煽られてはためいた。
「いつも学校のあたりをパトロールしてるの?」
「まあな」
お前の周辺を重点的にパトロールしている、などと言えるはずもない。
「ペコポンに来ている侵略宇宙人は我々だけではない。
我々の作戦区域に侵入されないよう、パトロールするのも仕事のうちだ」
「あんたたちも、だらだらしてるようで仕事してるのね」
夏美の言葉にギロロは鼻を鳴らした。
「フン、遊びに来ているわけではないからな」
「そっか……」
夏美の声が沈んでいるような気がして、ギロロは隣を見上げた。