■Present for you:4


「さぁ、ギロロ伍長!買ってきた宇宙メロンパンを加えれば、
 この『地球中瓜面包装置(ペコポン中メロメロパ〜ンチ装置)』による、
 『地球の食料を全部メロンパンにしちまえ大作戦、
 略して飯が無いならメロンパンを食えコラァ!作戦』が完成するでありますよ!」

スピーカーから、さらにタママの声もする。

「僕のアイディアがふんだんに入ってるですぅ、伍長さん、早くメロンパン出してください!
 ってか出せやコラー!」

俺と夏美は思わず顔を見合わせた。

「無い」
「は?」
「メロンパンは、買ってこなかった」
「なな、な、なんででありますか!?マジで言ってんのそれ!?」
「マジだ!そんなに大切な物なら最初に言わんか!」
「なんだと!?この役立たず!赤ダルマ!」

言い合っていると、ドン、と鈍い音がした。嫌な予感に汗を垂らしてそちらを見れば、
夏美がドームに拳を減り込ませている。

「あ〜ん〜た〜た〜ち〜」
「ゲロォ〜!!」

拳の穴から亀裂が走り、ドームは粉々に崩れ落ちた。
逃げ遅れたケロロ、クルル、タママ、そして俺が、その拳の餌食になったのだが……



「ギロロ、なぁに笑ってるでありますか」

揃ってこてんぱんにされ、俺のテントの脇で伸びていたケロロが起き上がる。
クルルとタママは既に帰ったようだ。

「別に」

俺は大事に抱えていた風鈴を、テントのすぐ側に張り出した木の枝に下げた。
すぐに涼しげな音を立て、風に揺れる。

「なにそれ」
「風鈴でござるな」
「ドロロ!」

急に現れたドロロはにっこり笑って風鈴を軽くつついた。

「古来より伝わる、暑さを凌ぐための知恵でござるよ。
 この柄、赤とピンクの金魚が寄り添って、まるでギロロ殿と夏美殿のようでござるな」

俺の心臓が跳ね上がり、何も言えずに口をぱくぱくさせた。

「だっせー、ほんとの金魚みたいでありますよ」
「ときに隊長殿」

ケロロが振り返ると、ドロロは先程と打って代わって暗い影をまとっている。

「この、いかにも何かありました、的な残骸……まさか、また僕に内緒で」
「あ、いや〜……ドロロ、反対すると思ってさ」
「ヒドイよケロロくぅん!」
「ちょ、ギロロ〜」
「俺は知らん!」

うるさい奴らには構わず、俺はいつまでも風鈴を眺めていた。


■Present for you:END

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