■モーニングコール:3
朝日が、がっくりとうなだれるギロロを照らす。
庭の草木はみずみずしく、朝露で化粧され、憎たらしいほどに輝いていた。
どこからか小鳥が飛んできて、ギロロの帽子に停まり、歌まで歌いはじめる。
「ギロロ!」
突然日向家の窓が飽き、ギロロは文字通り、飛び上がるほど驚いた。
小鳥も羽音を立てて飛んでいく。
夏美はそれを目で追いながら庭に出た。
すでにパジャマを着替え、普段着になっている。
「おはよ、さっきはありがとね」
「あ、ああ」
にっこり笑うと夏美はギロロの隣に座った。
とまどうギロロに、手に持った携帯ラジオを見せる。
「じゃーん!一緒に聞こうかと思って」
スイッチを押すと音楽が流れはじめた。
夏美はギロロの隣に座ると、それを足元に置いた。
「ギロロっていつも早起きしてるけど、暇そうだし、いいかなと思って。迷惑?」
「いや!暇なわけじゃないが……お前がそう言うなら、一緒に聞いてやってもいい」
腕組みをして背を向けたギロロを見て、夏美は笑顔でつぶやく。
「素直じゃないんだから」
「? 何か言ったか」
「べつに〜。あ、始まる!」
オープニングのBGMが朝の庭を包む。
二人は仲良く小さなラジオの音に耳を傾けた。
「……あれ、なにこのメモ。俺と……終わらない……夢?を、見ないか?なにこれ」
「のわーーーーっ!!」
■モーニングコール:END