■Detective G66:1


白く煙る曇りガラスが、夕日でオレンジ色に染まっていく。
夏美は頭に巻いたターバンを気にしながら、バスタブの縁にゆっくりと頭を置いた。

「ふー、いいお湯」

温かな湯気に包まれて、すっかりリラックスしたところに外から声がかかった。

「ねーちゃん、もうすぐご飯できるよ」
「あーはいはい、もうあがるわ」

ガラス戸に映った冬樹のシルエットを見送ると、夏美はバスタブから立ち上がった。

その時。窓の外でシャッター音がして、夏美はとっさにタオルで前を隠すと窓を開けた。

「誰っ!?」
「な、夏美!」

そこには一人、庭に立つギロロが見えた。
夏美はうつむくと、拳を握りしめた。

「ギロロ……あんたそこで何やってたの」
「い、いや、その」
「覗いてたんでしょ!?」
「違う!俺は……」
「問答無用!」

風呂桶がフルスピードで投げられて、ギロロの顔面に直撃した。

「最低!この変態エロダルマ!」

ものすごい勢いで窓が閉められて、ギロロは庭に倒れたまま、
痛みとショックでしばらく立ち上がれずにいた。

「な、つみ……」



「ん〜、あれ、ギロロどったの?」

そこに、ペコポン人スーツを着たケロロが現れた。
ガンプラの入った袋を持っている。

「あ、ああ、今、敵らしき影が現れたので、追っていたんだ」

ケロロはそう言いながら起き上がるギロロをしばし見つめた。
痛そうに頭を押さえるギロロと、そばに転がる風呂桶。
それにすぐ脇にあるのが風呂場の窓となれば、おのずとストーリーは読めてくる。

「ゲロ〜、我輩もさすがに、のぞきはまずいと思うでありますよ」
「違う!なんなんだ貴様まで!」
「だぁってさ〜」

ケロロは風呂桶を拾いながら言った。

「でも、ギロロがお風呂ののぞきなんて大胆なことをやるわけないでありますな」
「なぜか同意しづらいが、その通りだ!」
「んじゃ、本当に敵がいたってこと?」

ギロロは頷いて立ち上がる。

「監視カメラが映像を拾っているかもしれん。クルルの所へ行くぞ」
「え〜、我輩これからガンプラ……」
「うるさい!敵襲かもしれんのだぞ、黙ってついて来い」
「ゲロ〜」

厄介なところに出くわしたと思いながらも、ケロロはしぶしぶ赤い背中に続いて行った。


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